2012年2月29日水曜日

藁の重さ

そろそろ3月だと言うのに、今朝の最低気温は-28℃。
けれど、朝の台所に差し込む優しい日差しや、ぽたぽたと音楽のように水音を滴らせている軒先のつららが、もう春の近いことを教えてくれている。

冬になる前に、今年初めて冬を越す羊のメイちゃんのために、がってんがたくさん作ってくれた干草。
何しろ「にわか羊飼い」には、羊1頭の食べる一冬分の干草の量の見当がつかない。
けれど、「大体1ロールくらいだよ~」という先輩羊飼いの言葉を頼りに、とにかく小屋いっぱいに作っておけば何とかなるのではないかと見切り発車したのだけれど・・・

春間近とは言え、雪深い2月の末、
思いのほか大食いだった羊のメイちゃんは、小屋の干草を食べ尽くそうという勢いなのだ。

年末に鶏たちが全滅してから、キャベツの外葉、白菜の虫食い、人参や大根の皮、リンゴの芯、果てはヤーコンの皮やらヘタやらまで、さまざまな野菜クズを食べるのも羊のメイちゃんの仕事となった。
野菜なんか食べるのかと初めは恐る恐るあげていたけれど、意外にも大喜びで食べてくれるので、今やすっかり「野菜クズ担当」となっているメイちゃん。だけどいかんせん、その野菜クズも、野菜が貴重な今の時期はごくごく少量。メイちゃんの旺盛な食欲の前には、砂漠の一滴のようなもの。

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小屋の干草が残りわずかとなり、春まで到底もたないことが確実となった今日、重い腰をあげてようやく「干草調達」へと動くことにした。

何しろ干草作りは重労働で、大変な手間がかかるもの。晴天の続く日をよくよく選んで草を刈り、刈った後も1日のうちに何度もひっくり返しながら太陽にあてて干しあげる。数日かけて干した草を、我が家はそのまま小屋につみあげ、牧場では機械で圧縮し、倉庫へ積む。

訪れた近所の牧場(1軒目)で、おそるおそる干草を分けてもらえないか聞いてみたら、あっさりと、気持ちよくOKが出て、メイちゃんの当分の餌は無事に確保された。

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分けて頂いたのは、このあたりで通称「梱包」とか「コンパクト」と呼ばれている藁の四角いブロック。
干しあげた草をぎゅっと四角に圧縮したもので、一つの重さは15kgほど。

積み上げてある干草はしみじみと懐かしい、お日様の匂い。ひとつずつ抱えて小屋へと運びながら、藁の素晴らしさを改めて思う。
何しろ、この四角い藁のブロックは、我が家の大切な「建材」。
藁ブロックをレンガのように積み上げて、それをモルタルと漆喰で塗り固めた我が家の壁は、厚さ50センチを越える。今日のように、-28℃の厳しい寒さも、藁の壁と薪ストーブのおかげでぬくぬくと暖か。

This straw appears small and light, and
most peaple do not know how really weighty it is.
If peaple knew the true value of this straw,
a human revolution could occur, which would become
powerful enough to move the country and the world.
--MASANOBU FUKUOKA  The One Straw Revolution--

藁一本の価値をメイちゃんに語って聞かせたところで釈迦に説法かもしれないが、藁の家に住む「にわか羊飼い」にも、改めて重く、ありがたい今日の藁だった。

青草の春が、待ち遠しい。


さなえ
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