2012年12月13日木曜日

イワシ拾い

びゅうと吹きつける北風が、痛いほどに冷たい季節がまたやってきた。
釧路川のほとりは、ぽってりと白いこの冬最初の雪にすっぽりと覆われて、長い長い冬がとうとう始まった。

それは10日ほど前のこと。
強い風が吹き荒れた日の、翌日。
お昼ごはんを食べて、午後の仕事にとりかかろうとした、その時。何気なく目にしたフェイスブックの写真に釘付けに!
無数のイワシが浜に散乱している・・・今、まさに。

これは行かなきゃダメじゃない!?
がってんと2人、写真を見た5分後には車に乗りこみ、目指すは知床、オホーツク。
手には手袋、足には長靴、バケツをそれぞれぶらさげて。

野上峠を越えれば、夏ならば70分で知床ウトロまで着くのだけれど、アイスバーンが強敵のこの時期はそんなには飛ばせない。はやる気持ちを抑えて、ウトロの入り口までやってきた。
オホーツクの海は、この日もどどーんどどーんと激しい波が打ち寄せていて、それはそのまま厳しい冬の始まりを告げていた。

こんなに寒そうで波が高いのに、サーフィンをしている人がいたりして…
「おいおい、ちゃんと浜、見てるのか?」
運転中のがってんに何度も注意されるけど、海のない内陸に住んでいるんだもの…。波が踊るように打ち寄せるのを見ていると、ついつい注意力が散漫に…。

それでも、大きな浜の見える道路沿いを走っている時に、ついにイワシに遭遇!
早速車を停めると、バケツを持って浜へ。浜へのアプローチは急坂だったけど、雪の間から顔を出している枯れた草をつかみながら、滑り降りた。
そんな私たちの姿を見て、「なになに?なにかあるの??」と降りてきたチビちゃん連れのご家族と、歓声をあげながらのイワシ拾い。

見わたす限りのイワシ。
打ちあがってからあまり時間が経っていない上に、限りなく0℃に近い氷点下の中で風に吹かれていたから、新鮮この上なし。
「拾いたいだけ持ってきな!今日はサービスだから全部タダさ」
知床の海は太っ腹だ。

しかし、拾ったからには責任がある。その責任に思いが至るわけで、いくらタダと言われても、自分の処理できる限界を超えるわけにはいかない。
ということで、この日の私たちの収穫は、バケツ2杯のイワシだ。

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北の海は、時折こんなプレゼントをくれることがあるという。
それは決まって海が荒れた日の翌日のことで、サンマやホタテを山ほど拾った人の話を羨ましく聞いたことが何度もある。
けれど、長く海辺に暮らしている人にとってもそれは当たり前の日常ではない。まして海辺に暮らしているわけではない私たちにとって、こんな体験は千載一遇と言っていい。

というわけで、バケツ2杯のイワシが我が家にやってきた!

まずはイワシのトマト煮。
3枚におろして、玉ねぎと一緒にトマトで煮込むシンプルな料理だけど、イワシが新鮮だからとびきり美味しい。

翌日は、イワシのつみれ汁とイワシの生姜煮。
その翌日は、イワシの香草フライ。
そのまた翌日は、イワシ丼。
3日間、たっぷりイワシを楽しんだ。

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残りの40匹はオイルサーディンに。
小さなイワシだと丸ごと煮るのだろうけれど、とびきり丸々とした大きなイワシだったので、3枚におろしてから仕込んでみることにした。
3枚におろして、10%の塩水に1時間漬けた後、水気を拭いてからナベに並べる。つぶしたニンニクと、輪切りの唐辛子、粒のままのコショウ、ローリエの葉っぱをたっぷり、イワシの上にふりかけたら、オリーブオイルをひたひたに注ぐ。
ふつふつとオイルが沸くまでは中火、それ以降はひたすらとろ火、とろ火。
低温のオイルでじっくり煮た自家製オイルサーディンは、オホーツクの香りいっぱいの嬉しい逸品になった。

もし誰かが遊びに来たら、これで自家製オイルサーディンパスタを食べよう。
知床でイワシをいっぱい拾った、楽しい一日のことを話しながら。

うん、そうしよう。


さなえ
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