びゅうと吹きつける北風が、痛いほどに冷たい季節がまたやってきた。
釧路川のほとりは、ぽってりと白いこの冬最初の雪にすっぽりと覆われて、長い長い冬がとうとう始まった。
それは10日ほど前のこと。
強い風が吹き荒れた日の、翌日。
お昼ごはんを食べて、午後の仕事にとりかかろうとした、その時。何気なく目にしたフェイスブックの写真に釘付けに!
無数のイワシが浜に散乱している・・・今、まさに。
これは行かなきゃダメじゃない!?
がってんと2人、写真を見た5分後には車に乗りこみ、目指すは知床、オホーツク。
手には手袋、足には長靴、バケツをそれぞれぶらさげて。
野上峠を越えれば、夏ならば70分で知床ウトロまで着くのだけれど、アイスバーンが強敵のこの時期はそんなには飛ばせない。はやる気持ちを抑えて、ウトロの入り口までやってきた。
オホーツクの海は、この日もどどーんどどーんと激しい波が打ち寄せていて、それはそのまま厳しい冬の始まりを告げていた。
こんなに寒そうで波が高いのに、サーフィンをしている人がいたりして…
「おいおい、ちゃんと浜、見てるのか?」
運転中のがってんに何度も注意されるけど、海のない内陸に住んでいるんだもの…。波が踊るように打ち寄せるのを見ていると、ついつい注意力が散漫に…。
それでも、大きな浜の見える道路沿いを走っている時に、ついにイワシに遭遇!
早速車を停めると、バケツを持って浜へ。浜へのアプローチは急坂だったけど、雪の間から顔を出している枯れた草をつかみながら、滑り降りた。
そんな私たちの姿を見て、「なになに?なにかあるの??」と降りてきたチビちゃん連れのご家族と、歓声をあげながらのイワシ拾い。
見わたす限りのイワシ。
打ちあがってからあまり時間が経っていない上に、限りなく0℃に近い氷点下の中で風に吹かれていたから、新鮮この上なし。
「拾いたいだけ持ってきな!今日はサービスだから全部タダさ」
知床の海は太っ腹だ。
しかし、拾ったからには責任がある。その責任に思いが至るわけで、いくらタダと言われても、自分の処理できる限界を超えるわけにはいかない。
ということで、この日の私たちの収穫は、バケツ2杯のイワシだ。
北の海は、時折こんなプレゼントをくれることがあるという。
それは決まって海が荒れた日の翌日のことで、サンマやホタテを山ほど拾った人の話を羨ましく聞いたことが何度もある。
けれど、長く海辺に暮らしている人にとってもそれは当たり前の日常ではない。まして海辺に暮らしているわけではない私たちにとって、こんな体験は千載一遇と言っていい。
というわけで、バケツ2杯のイワシが我が家にやってきた!
まずはイワシのトマト煮。
3枚におろして、玉ねぎと一緒にトマトで煮込むシンプルな料理だけど、イワシが新鮮だからとびきり美味しい。
翌日は、イワシのつみれ汁とイワシの生姜煮。
その翌日は、イワシの香草フライ。
そのまた翌日は、イワシ丼。
3日間、たっぷりイワシを楽しんだ。
残りの40匹はオイルサーディンに。
小さなイワシだと丸ごと煮るのだろうけれど、とびきり丸々とした大きなイワシだったので、3枚におろしてから仕込んでみることにした。
3枚におろして、10%の塩水に1時間漬けた後、水気を拭いてからナベに並べる。つぶしたニンニクと、輪切りの唐辛子、粒のままのコショウ、ローリエの葉っぱをたっぷり、イワシの上にふりかけたら、オリーブオイルをひたひたに注ぐ。
ふつふつとオイルが沸くまでは中火、それ以降はひたすらとろ火、とろ火。
低温のオイルでじっくり煮た自家製オイルサーディンは、オホーツクの香りいっぱいの嬉しい逸品になった。
もし誰かが遊びに来たら、これで自家製オイルサーディンパスタを食べよう。
知床でイワシをいっぱい拾った、楽しい一日のことを話しながら。
うん、そうしよう。
さなえ
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2012年12月13日木曜日
イワシ拾い
2012年10月7日日曜日
笹の葉
忙しかった8月も終わり、9月のページも最後まできて、あっという間にまた紅葉の季節がやってきた。
いつも買い物に行くスーパーの入り口にも、目につくように置いてあった野菜の種がどけられて、野菜コーナーも少し奥に引っ込んで、そのかわりに漬物コーナーがどんと設置された。ずらりと並んだ大きな樽や大小の袋、それから味噌や塩や酒粕や麹、唐辛子や米ぬか、ミョウバンまで何でもそろう漬物コーナーは、いつだって北国の母ちゃんをワクワクさせるのだ。
北国らしからぬ暑さが続いた9月が終わり、10月になって、まだ張り詰めたような寒さはやってこないけれど、ようやく薪ストーブにも火が入ったし、遅れていた紅葉も少しずつ始まった。半月遅れの秋にも関わらずカレンダーに忠実に現れた漬物コーナーを見ていると、少しだけ焦る気持ちも無くは無いのだけれど、やっぱり漬物作りはもう少しだけ寒くなってからにしようかな、と思う。
スーパーの漬物コーナーを足早に通り過ぎて家路を急ぐとき、ふと道路際のササに目がいった。
初夏にたくさん摘んでたっぷり一年分の笹茶を作った時には、さわやかなグリーンがいかにも柔らかそうな笹葉だったけれど、夏にはぐんぐんと緑が濃くなる。そしてこの時期、ようやく吹き始めた秋の風に、笹の葉は縁(ふち)が少しずつ枯れ色になり始めていた。
縁が枯れても、笹の葉は雪の下でしっかりと緑色を残している。
すっかり雪に覆われた冬の山で、鹿たちの貴重な食糧にもなれば、時折掘り出しては刈り取られて羊のために供されることもある。
だから冬になってもすっかり枯れてしまうことは無いのだけれど、縁が枯れる前に笹を採らなくては。
何のためと言えば、もちろん、飯寿司(いずし)作りのため!
11月中旬に仕込む飯寿司は、鮭と野菜、それから麹を混ぜたご飯を交互に木桶に仕込み寝かせた熟れ寿司で、北国のお正月には欠かせないもの。
この飯寿司を仕込む時、桶の一番下と一番上には、笹の葉をしっかりと敷きこむのが定番なのだけれど、この時に使う笹の葉は今のうちに確保しておかなければ、枯れ色の葉を使うことになってしまう。
そんな訳で「急ぎじゃないけれど大事なこと」がたくさんたまっている秋の日に、まずは飯寿司のための笹の葉を採ることに決めた。
飯寿司のための笹の葉だから、まずは大きな葉っぱがいい。そしてもちろん、虫食いが無くて、出来るだけ青々として美しいもの。道路のすぐそばに生えているものは敬遠して、少し奥に生えているもの・・・。敷地広しといえども、理想的な葉っぱは少ない。
かさかさと落ち葉を踏みしめながら美しい笹の葉を求めて静かに彷徨っていると、林の奥でガサガサッと慌てて誰かの逃げる音がした。たくさん居たから、きっと鹿かな(タブン!)。
30分ほどかけて集めた笹の葉。
濡れたタオルで一枚ずつ拭いた後、重ねてジッパー袋にしまう。その後、冷凍庫へ。
鮮やかなグリーンの笹の葉を、採ってきたままの状態で冷凍保存できることを発見した時はとても嬉しかった。
冷凍庫に笹の葉もやってきたし、空も空気も澄んできた。
霜がおりたら、キムチを漬けよう。ニシン漬けも漬けよう。
それから、飯寿司。
うんと楽しみな漬物シーズンは、もう目の前です。
さなえ
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2012年7月18日水曜日
よもぎマフィン
ぐんぐんと、夏らしい風景がやってくるこの季節。
何しろ、フリースを着ないで過ごせる期間と言ったら、1年のうちでもこの2ヶ月ほどしかないのだから、多少無理してでも半袖を着るべし!なのだ。
20℃を超えると、「今日は暑いねえ」という会話になるのが北国なのだけれど、昨日お風呂で会ったばあちゃんは、昔はもっと暑かったンだぁとしみじみ。
遠い記憶のページをそっとたぐりながら、
「昔は露地でも大きなナスやらキュウリやら、アジウリやら、一抱えもあるような大きなスイカやら、何でもごろごろ採れたもんだねえ。今ならもうハウスで育てたってあんな大きなナスは採れないねぇ。アジウリが甘ぐて甘ぐて、飛び上がって食べたもんだぁ」
「あんまり暑くてかなわないから、昼んなると湖水さ飛び込んでさ・・・」
アジウリって言うのはマクワウリのことで、メロンの仲間。今ではもう見かけることはほとんど無いけれど、とても美味しかったそう。昭和40年代はこのあたりでも作っている人がいっぱいいた。
「暑い夏は何年も続いたけど、もう最近は全然ダメだねえ・・・」
ばあちゃんは淋しそうだった。
温暖化、温暖化って言うけれど、どうなのかな。
暑いところはもっと暑く、寒いところはどんどん寒く、そんな気候変動が起こっているように感じることが多い。
しかしそんな気候変動にも負けず、いつも元気なのは野の草たち。
今年の春は、そんな元気な野の草の代表、ヨモギを毎日つんではお菓子を焼いていた。
何しろいくらでも生えているのだから、ザルを片手に、サンダル履いて採りに行けるのがイイし、採っても採っても無くならない。
お湯を沸かしながら採りに行くくらいの気軽さ。
畑の周りや家の裏で、ヨモギの柔らかな穂先を選んで摘みとり、ほんの少し重曹を落としたお湯でさっと湯がいてからいろいろのお菓子に。
定番の、よもぎ団子。
よもぎパウンドケーキは、ヨモギの量を増やしすぎてこんな色に。
ヨモギの量が少ないと、香りが薄くてなんか違う。
でも増やしすぎるとヨモギが強すぎて食べにくい。
そんなわけで、いろいろな分量で何度も試行錯誤してたどりついたのが、これ。
よもぎマフィン。
気軽に作れるから、朝ごはんにも焼いたりして。
春先にたくさん摘んで茹でたヨモギは、ビニール袋に小分けしてたっぷり冷凍してある。
こんなストックがあることが嬉しい。
さて、ヨモギ摘みに明け暮れた新緑の季節はもうはるかに過ぎ去り、夏草のぐんぐん育つ暑い季節がやってきた。
あの頃とても大事にされていたヨモギたちも今は「雑草」となり、畑に侵入しているのが見つかると、容赦なく抜かれている。
でもヨモギマフィンはまだ当分楽しめそうですよ。
さなえ
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2012年6月1日金曜日
初めての毛刈り
陽射しがまぶしい季節がやってきて、気になるのは・・・
これ。
随分と伸びてきたメイちゃんの毛。
昨年はまだ0才ということで、あまり毛も伸びていなかったから、毛刈りは免除となっていた。
でも今年は・・・やらねば!
3月にあった友人宅での「毛刈りショー」。
華麗な手さばきの羊飼いSさんの手で、あっという間に羊が「脱皮」するのをしっかり見て頭に叩き込んでいたから、イメージはばっちり☆
長い歴史の中、人間とともに暮らしてきた羊は、毛が生え変わらずに伸び続ける。
だから年に一度は毛を刈ってやらなくては、伸び続ける毛の重みに耐えられず動けなくなってしまう。
でも羊の毛は、いつでも刈れるわけではない。
冬の厳しい寒さからしっかりと身を守ってくれるのが分厚いウールの役割なのだけど、それだけじゃない。夏の暑さからもしっかりと羊を守る。
真夏にモコモコしたウールをみっしりと身に纏った羊をみると、暑そう・・・って思うけど、大丈夫。ウールの断熱効果が、しっかりと羊を守っているのだ。だから夏近くに毛刈りをすると、炎天下の暑さでは日射病になってしまう。
しっかりと断熱効果を発揮するまで毛が伸びるのには、約2ヶ月かかる。
だから、毛刈りをするのはやはり5月がいい。
(秋にも「毛刈り適期」があるのだけど、秋のベストタイミングはすごく短い)
晴天が続く日が毛刈り日和。
雨の翌日だと、せっかく刈ったウールが湿っているし、晴天が続いていても人手が足りなかったりして、延び延びになっていた毛刈り。なんとかなんとか、5月も最後の今日、皆そろって毛刈りに臨めることになった。
青空の下、続々と友人たちが集まる。
ブルーシートを広げて大勢の人が自分の方を見ているというただならぬ雰囲気に、始まる前から緊張しているメイちゃん。
(親方、乗らないで下さい。)
そして、毛刈りは無事にスタート!・・・したのだけれど、、
おかしいなあ。
羊飼いのSさんは、いとも簡単にころりと羊を転がしてたけど、ねえ。
初めての毛刈りはなかなかうまくいかない。
なにしろ、毛刈りショーでは勿論バリカンを使って毛を刈っていったわけだけど、本日使用する器具は、100円ショップで買ってきた(よく切れそうな)ハサミが2本だけなのだ。
座らせたり・・・
立たせたりしながら、
途中、流血の惨事もあったけれど、8人の大人(+見学baby1名)が奮闘すること1時間半。
ようやく、羊は脱皮に成功した。
でもでも、皆忘れてな~い?
アタシ、女の子なのに、これってひどくな~い?
・・・モヒカンじゃん。
虎刈りの上に、モヒカン。
不満げなメイちゃんと、たくさんのふわっふわのウールを残して、
初めての毛刈りはつつがなく(?)終わった。
さなえ
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2012年5月30日水曜日
桜とカラマツ
かけあしで、春が終わろうとしている。
いつまでもいつまでも寒くて、うんと遠くまで探しに行かないと来てくれないのではないかと思っていたけれど、振り返ってみたらちゃんと横に並んでいて、いつもと変わらぬ笑顔の春。
これは、私の桜。
家のすぐそばの牧草地に、ひっそりと佇む桜。
雨の日も、風の日も、冬の突き刺すような寒さや吹雪にも耐え、いつも動かずじっと人々の暮らしを見つめてきた1本の桜。朝に夕にその健在を確かめて、心の中で挨拶を送る大切なこの木を、そっと「私の桜」と呼んでいる。
これまで、この木が傾いているのは冬の冷たい風になびいているせいだと、漠然と思っていたけれど、ある時ふと気がついた。
桜が枝を広げた方から、冬の風が吹いていることに。
冬の風はいつも一定の方向から吹く。この写真では、右の方から風が来る。
桜は、風にたなびいているのではなく、風に立ち向かうように枝を広げていた。
ようやく本当の春が始まりかけたばかりの先月の終わり、大切な友人が不慮の事故で虹の橋を渡ってしまった。
川の畔のステキなストローベイルハウスに住んでいた。
釣りが好きで、とても優秀な料理人で、ディジュリドゥの名奏者で、家でも家具でも作ってしまうほど器用で、誰からも愛された友は、まだ幼い息子と、小さな命を宿している妻を残して旅立った。
あまりにも突然の悲しい出来事だったので、春が来ていることにも気がつかないうちに、くるくると時計の針だけが進んでいた。悲しみの中でも、ちょっと立ち止まって横を見て、ちゃんと春が来ていることは心の隅で分かっていたのだけれど、春というのは嬉しいものだから。嬉しさと喜びがセットでやってくるものだから。だから。
そして、今年も桜が咲いた。
友人の初めての月命日には、満開の桜が吹雪となってソラへ昇り始めた。
この春、初めて気がついたことがある。
それは、新緑のカラマツの美しさ。
これまで、雑木を切り倒して整然と植えられたカラマツには、一度だって良い印象を抱いたことはなかった。
森歩きをしていても、カラマツの森には楽しいことがひとつもないのだもの。
手入れもされないままの荒れ放題の森が多く、暗くて、動物たちもいない。
おまけに、秋になると大量の、針のようなちくちくとする葉を落とす。それは、秋の最後の収穫を迎える畑に降り注いで、白菜の葉っぱの間にも容赦なく入り込む。
でもどうだろう。
この春の新緑のカラマツの美しさは、この地に来て初めて気がつく美しさだった。
まっすぐに立ち、家や畑を風から守りながら、ずっとここにいたんだね。
森も大地も、輝くように美しい翠に染まっている。
北国は、誰もが忙しく動き出す季節がやってきた。
山も、大地も、ほら。
さあ私も頑張ろうっと。
前を向いて、ね。
さなえ
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また逢う日まで…
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2012年5月15日火曜日
春のほとりに
春はひとあしとびにやってくる。
ものなのだけれど。
今年の春は、うんと遠くまで探しに行ってあげなければなかなかやってこないように思うほど、届きそうで届かない儚い季節だった。
それでも、牧草地はすっかりグリーンになったし、庭のタンポポも開花した。
遅い遅い雪が降ったけれど、すぐに融けて、つかの間の晴れ間がやってきた。
そんな本日、お昼ごはんを食べていたら、電話が鳴った。
「もうネギ採りました?よかったら今日これから行きません?」と、ガイドのジンくんから嬉しいお誘い。
一昨日は雪が降っちゃってたし、その前からずーっとお天気も悪かったし、いろいろ気持ちが沈むようなことがたくさんあった春。だから森に行って春を捕まえたかった。乾いた花瓶に勢いよく水を注ぐように、たくさんの春を捕まえたかった。「行きます、行きます!」と即答。
2012年3月23日金曜日
車検係のつぶやき
3月後半の釧路川のほとり。
今年はずいぶんと雪が多く、こんな時期でもまだ-22℃などと記録しているから油断ならない。
それでも、冬将軍の鉄壁の守りにもほころびが見え始めて、すぐそこまでやってきている春の音が聴こえてくる。屋根から滴る水音の新鮮さに、思わずはっとさせられるのもこの季節。
さて3月は、その年最初の車検月。
車検係にも仕事始めがやってきた。
車があるからこその、車検。
どこへ行くにも車、という今の生活スタイル・・・。何とかならないものかと思いはするのだけれど、そこは田舎暮らしの定めと言うべきか、学校、保育園、役場、図書館、商店、その他生活に必要なあれこれの施設は全て、7kmほど先の市街地に集約されているから、どうしても車が無くては始まらない。
まして、カヌーを積んで屈斜路湖へ、釧路川へ、となれば、言わずもがなの車社会。
その車やトレーラーも、5台ともなれば、小さな家内企業にはたかだか車検と言えどもなかなかの負担だ。ましてやそのうちの3台は毎年の車検なのだから。
その車検係に、いつから任命されたのかもう覚えていない。気がついた時には、すっかり我が家の車検担当者になっていた私…。
原野暮らしの母ちゃんたるもの、車検の一つも通せなくてどうするんだ!と鼻息荒く申し述べてみたところで、車を動かすのは大好きだけど、その車が一体どやって動くのか、未だそんなこた全然知らない頼りなげな車検係だ(キッパリ!)。
車検、と言うと、最近はガソリンスタンドなどの「車検代行」もよく見かけるけれど、普通は車を購入した車屋さんや整備工場、ディーラーなどに頼むのが一般的。
でも、それより遥かに安くて早いのが、自分で陸運局に持っていく「ユーザー車検」。
しかし何しろここは原野の真ん中。車検場のある陸運局は、80km先の釧路市なのだ。
というわけで、車検に行く日はたいがい朝一番に家を出て、トコトコとドライブしながら陸運局を目指す。
(トコトコじゃなくて、ブンブンだという説もあり)
そして、今日は車検場で写真を撮る余裕があったので、順番に紹介しながらお送りしようと思う。
(なぜ余裕があったのかは後ほど)
陸運局に到着したら、まずは書類の受付から。
窓口で書類をもらい、重量税の印紙を購入し、書類の記入が終わったら窓口へ提出。
車検証、納税証明書、1年先までの自賠責保険の証券など、必要書類がそろっていることを確認してもらう。
書類が終わったら、車に乗り込み車検場内へ。
この日は年度納めが近いせいか、激しく込んでいた。検査を待つ車が長蛇の列となっているけれど、めげずに並ぶ。
2つ前の車がボンネットを開けているのが見えるだろうか。
何のためかと言うと、
オイルの残量をチェックしている・・・わけではなく、
バッテリーの残量をチェックしている・・・わけではなく、
ただ、
エンジンに打刻されている車体番号が、車検証に記載されている番号と合っているかどうかを確認するため、だ。
このあと、係員がそばにきて、トンカチのとんがったみたいなやつで、カンカンと全てのタイヤのホイールをたたいて、何かを確認する(何を確認しているのか、今までこの分野で落ちたことが無いので分からない)。
タイヤの規格があっているかどうかもここでちゃんと見ている。
それから全てのランプが点くか確認し、前のワイパーを動かし、ウィンドウォッシャー液が出るかどうか見る。ブッブーとクラクションも鳴らす。
車の中を覗き、シートの数が車検証に記載されている通りか確かめる。
問題なければ、合格印を押してくれるので、次に進む。
問題があった時は合格印はもらえないけれど、やはり次に進む。
レーンに入るのはいつも緊張。。。
何度来てもお腹が痛くなるほどの緊張なのだ。
レーンの入り口で、係員が黒煙検査をする。
エンジンを思いっきり空ぶかしして、排気ガスの黒煙濃度を、シューッッとものすごく大きな音のする機械で吸い込んで検査する。
ディーゼルだけでしょ?
と思われるかもしれないけれど、ガソリン車も今は全て黒煙検査がある。
(ただしガソリン車はレーンの最後で検査をする)
黒煙検査が終わったら、レーンの奥へ。
たいてい、黒煙検査の人が「入ったことある?大丈夫?」と心配そうに聞いてくれる。
車検係になって初めの10回くらいは
「初めてなんですぅ・・・」と心配そうに言って、係の人についてきてもらっていたけれど、さすがにもう慣れてきたので、最近は
「タブン大丈夫だと思いますぅ」
と言うことにしている。
表示が「進入」になったら進む。
後は、前の電光掲示板&アナウンスが全て指示してくれるので、その通りに。
「スピードメータの検査をします。40kmでパッシングしてください」
「ライトの検査をします。ライトを上向きに点灯してください」
「フートブレーキの検査をします。ギアをNにしてください。
フートブレーキをはなしてください。フートブレーキを踏んでください」
「駐車ブレーキの検査をします。駐車ブレーキを引いてください」
ここで全ての項目に●が点けば、このコーナーは合格。
「前進して記録してください」
ガチャン。
それから下回り検査のコーナーへ。
車の下に係の人がやってきて、器具を使ってあちこち叩く。
カンカン、コンコン、コツコツ、カンカン、コツコツ、ゴリゴリ、、
かなり念入り。
エンジンを切る、かける、ハンドルを回す、反対に、などのアナウンス。
検査が終わると、
OKの時には「下回り検査●」 の表示が出るけれど、
ダメだった時には「書類持って下に降りて来てください」というガッカリしたアナウンスを聞くことになる。
下回り検査が終わって、全ての項目がOKだったら、出口の窓口で合格印をもらい、最後に受付の建物で新しい車検証を受け取って終了する♪という手順だ。
ダメなところがあった時は、
その当日に直した場合は、2回まで検査できる。
3回以上になる時や、すぐに直せない箇所だった場合は、車検証に代わる「限定検査証」というものを発行してもらい(1400円)、退却する。
何度来ても終わるまでは心臓バクバクして緊張する検査レーン。
いつもならとても写真など撮る余裕はないのだけれど、今日は限定検査証による「再検査」だったので、かなり心にゆとりあり。
無事に新しい車検証をもらい、車検係の3月の仕事は終わった。ほっ!
な~んだ、けっこう簡単そうでしょ。
ここだけの話だけど、
車検係って、意外と女の人の方がいいかも。
何しろレーンで女性を見かけることはほぼ無いので、係の人がとても心配して丁寧に教えてくれるから、ね。
さなえ
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・・・ユーザー車検をマスターしたら、道東ポイントが5ポイントくらいアップする気がする。
2012年2月29日水曜日
藁の重さ
そろそろ3月だと言うのに、今朝の最低気温は-28℃。
けれど、朝の台所に差し込む優しい日差しや、ぽたぽたと音楽のように水音を滴らせている軒先のつららが、もう春の近いことを教えてくれている。
冬になる前に、今年初めて冬を越す羊のメイちゃんのために、がってんがたくさん作ってくれた干草。
何しろ「にわか羊飼い」には、羊1頭の食べる一冬分の干草の量の見当がつかない。
けれど、「大体1ロールくらいだよ~」という先輩羊飼いの言葉を頼りに、とにかく小屋いっぱいに作っておけば何とかなるのではないかと見切り発車したのだけれど・・・
春間近とは言え、雪深い2月の末、
思いのほか大食いだった羊のメイちゃんは、小屋の干草を食べ尽くそうという勢いなのだ。
年末に鶏たちが全滅してから、キャベツの外葉、白菜の虫食い、人参や大根の皮、リンゴの芯、果てはヤーコンの皮やらヘタやらまで、さまざまな野菜クズを食べるのも羊のメイちゃんの仕事となった。
野菜なんか食べるのかと初めは恐る恐るあげていたけれど、意外にも大喜びで食べてくれるので、今やすっかり「野菜クズ担当」となっているメイちゃん。だけどいかんせん、その野菜クズも、野菜が貴重な今の時期はごくごく少量。メイちゃんの旺盛な食欲の前には、砂漠の一滴のようなもの。
小屋の干草が残りわずかとなり、春まで到底もたないことが確実となった今日、重い腰をあげてようやく「干草調達」へと動くことにした。
何しろ干草作りは重労働で、大変な手間がかかるもの。晴天の続く日をよくよく選んで草を刈り、刈った後も1日のうちに何度もひっくり返しながら太陽にあてて干しあげる。数日かけて干した草を、我が家はそのまま小屋につみあげ、牧場では機械で圧縮し、倉庫へ積む。
訪れた近所の牧場(1軒目)で、おそるおそる干草を分けてもらえないか聞いてみたら、あっさりと、気持ちよくOKが出て、メイちゃんの当分の餌は無事に確保された。
分けて頂いたのは、このあたりで通称「梱包」とか「コンパクト」と呼ばれている藁の四角いブロック。
干しあげた草をぎゅっと四角に圧縮したもので、一つの重さは15kgほど。
積み上げてある干草はしみじみと懐かしい、お日様の匂い。ひとつずつ抱えて小屋へと運びながら、藁の素晴らしさを改めて思う。
何しろ、この四角い藁のブロックは、我が家の大切な「建材」。
藁ブロックをレンガのように積み上げて、それをモルタルと漆喰で塗り固めた我が家の壁は、厚さ50センチを越える。今日のように、-28℃の厳しい寒さも、藁の壁と薪ストーブのおかげでぬくぬくと暖か。
This straw appears small and light, and
most peaple do not know how really weighty it is.
If peaple knew the true value of this straw,
a human revolution could occur, which would become
powerful enough to move the country and the world.
--MASANOBU FUKUOKA The One Straw Revolution--
藁一本の価値をメイちゃんに語って聞かせたところで釈迦に説法かもしれないが、藁の家に住む「にわか羊飼い」にも、改めて重く、ありがたい今日の藁だった。
青草の春が、待ち遠しい。
さなえ
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2012年1月17日火曜日
鶏騒動
話は去年に遡る。
暮れも押し迫った12月30日、この日は毎年恒例のお餅つきの日。
昔ながらの杵と臼を使って、ぺったんぺったんお餅を搗き、皆でわいわい遊ぶ、大人も子どももとっても楽しみな我が家の恒例行事。
お餅つきには友人たちもたくさんやってくる。
搗いたお餅は各家庭用の鏡餅とのし餅を作るほか、もちろんその場で美味しく頂く。
搗きたてのお餅なんだから、どんな風に頂いても嬉しく、美味しい。きなこ、あんこ、大根おろし、そしてやっぱりお雑煮!
せっかくお雑煮を作るのだからと、お餅つきの3日ほど前、がってんと一緒に、鶏を2羽、お雑煮用につぶした。
つぶした、、って一言で書くと簡単だけど、
自分で世話をしてきた鶏を肉にするのだから、これはなかなかに気が重かった。
けれど、ずいぶん年をとって卵の産みも悪くなってきていたし、鶏はペットではないのだから、いつかは必ずこの日がやってくる。
皆が集まる特別な日、そこでお雑煮として食べるためならば、お肉にする機会としては申し分ないと思った。
産みの悪い子を2羽、よくよく選ぶ(間違ったら大変!)。それをがってんがしめて羽をむしり、肉にしてくれた。
スープをとってから、圧力をかけて加熱したのちに2日ばかり煮込むと、スペシャルなお雑煮の出来上がり!
こうして迎えた、お餅つきの日。
この日は朝からお餅つきの準備でばたばたしていた。お餅を蒸かすための蒸し器やお湯の用意、臼にお湯を張ったり、コマゴマとした道具を出してきたり、作業台を広げたり。
忙しかったけれど、そうそう~皆がやってくる前に鶏のエサだけやっておかなくっちゃ~、とエサのバケツを手に鶏小屋へ向かった。
冬の間鶏小屋に使っている温室の入り口の戸を開けると、
昨日まで元気に土の上を跳ね回っていた鶏たちが、、、
なんと全滅していた。
羽が散乱し、
累々と横たわる6羽の鶏。
5羽のメスは全て頭が無く、オスの1羽は頭つきのまま埋められていた。
こんなことをするのは、足跡を確かめるまでもなく、テンの仕業だ。
首元に襲いかかって血を吸う。そして頭だけちぎって持っていく。
それがテンのやりかた。
あっちゃぁ…
しばらく呆然としていたけれど、気を取り直し、外で雪かきをしていたリョータくんを呼び、一緒に鶏たちをコンテナに詰めた。
ここに置いておいたら、またテンやキツネがたくさん来て宴会を始めること、間違いなし。
横たわる鶏を見た時から、
「食べよう」
と思ったので、とにかくコンテナに詰めて倉庫の梁に下げておくことにした。
餅つきは予定通り、滞りなく進み、
翌日は大晦日。
朝からスタッフ・リョータくんと蔵ちゃんが集まってくれて、がってんと男3人でテンにやられた鶏の処理が始まった。お湯を沸かして、羽をむしっていく。
ほんの1時間ほどの間に、クリスマスによくお店で見かけるような丸鶏の姿になった。
名古屋コーチンの雄が1羽、同じくコーチンでヒヨコから育てた雌の1羽、そして1年半前にやってきたよく卵を産む子が1羽、卵を産む気がほとんどないお局様が3羽、全部で6羽。
…それにしても、羽をむしっている最中にがらりと戸を開けて現れた郵便屋さんにはとても気の毒なことをしたと思う。
さてすっかりお肉になった我が家の鶏たち。
臆病で弱虫だった雄鶏は、無事に我が家のお雑煮とカレーに変身した。
このカレーは、「おんどりゃーカレー」
と呼ばれ、子ども達も大喜びで食べた。
残りの鶏は、解体を手伝ってくれたリョータくんと蔵ちゃんにもらわれていった他、我が家の冷凍庫に眠っている。
そんなわけでこの冬、我が家の鶏は一羽もいなくなってしまった。
今までもテンの襲撃を受けたことはあったけれど、全滅したのは初めてのことだ。
しかしいなくなってみると、卵はもちろんのことだけれど、とても困ったことが出てきた。
それは台所から出る生ゴミで、今まではほとんどの野菜クズを鶏が食べてきてくれたので、畑のコンポストに入れるような生ゴミはコーヒーの粉、玉ねぎの皮、卵の殻など、ごくわずかでそれほど多くはなかった。それが鶏全滅とともに、一気にたくさんの野菜クズの処理に直面することになってしまった。
ここは北国、冬の間は全てのものが凍ってしまう。
そして一年のうち半分は冬なのだから、生ゴミが土に還る速度はすこぶる遅い。
新しい鶏を飼うにせよ、それは春以降の話なのだから、
生ゴミ処理には何か新しい工夫が必要だと思う。
とりあえず今のところは電気を使わないEM生ゴミ処理バケツがあるけれど、容量が小さいのですぐにいっぱいになってしまうし…
うん、要検討!
さなえ
www.wakka.biz
2012年1月5日木曜日
一陽来復
少し遅くなりましたが、
皆さま、新年 あけましておめでとうございます!
おめでとうと言っていいものか悩み、
今年の年賀状には、タイトルの『一陽来復』の言葉を刻みました。
新しい一年が、
どうか良い時間になりますように。
希望の光が見える一年に、なりますように。
皆さまの健康と幸せを、
北の大地より心からお祈り申し上げます。
さなえ
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