2013年10月31日木曜日

山ぶどうジャム

秋が駆け足で過ぎてゆくころに心の中を占めるのは、いつも山の実りのこと。
今年はブドウが豊作だ、
コクワも見たことないくらい成ってるぞ、
そんな声がどこからともなく聞こえてくると、何もかも放り出してブドウ採りに走っていきたいような気持ちになってしまう。

ブドウ、というのは山ぶどうのことです。
大きなハートの形をした、紅の美しい山ぶどうの葉は、どこを走っていても一番に目に飛び込んできます。地元のじいちゃんたちは決まって言うことには…「山ぶどうはな、ひと霜降りてからでないと、うんまぐねえ。ひと霜降ったら甘ぐなんだあ」ってね。

里に冷気が降りてきてぐんと気温の下がるのは、10月のカレンダーが半分くらいまで進んだ頃のことが多い。霜が降りるのを待ちかねて、今年も山ぶどう採りに出かけました。

名前は「山ぶどう」だけれど、山にばかり生えているわけではなくって、大きなトラックが行きかう道路沿いにも、山裾に広がる静かな牧草地の脇の木立にも、川沿いを歩いたところにも、山ぶどうに気がつく「目」があれば、存外簡単に見つけることができる。
山ぶどうを探す時には「山ぶどうの目」、山菜を探す時には「山菜の目」、コクワを探す時には「コクワの目」。初めはひとつも見つけられなかった野の恵みを次々と発見できるようになった時、「目」を体得した喜びをしみじみと感じます。

山に実りを探しに入るのは、同じようにブドウ採りに夢中になっている「おやじ」に出くわすかもしれない危険をはらんでいるから、一人で行くブドウ採りはもっぱら道路沿い。大きくて葉っぱがうんと赤くて立派な山ぶどうの木は、空振りのことも多くて、あっちへうろうろ、こっちへうろうろ。
実をつけるのは、落葉が進んで、少しばかり残った葉っぱも枯色になったような地味な木の方が多い…ような気がします。

そうして、何回かに分けて、今年もたくさんの山ぶどうを集めることができました。
これまでは山ぶどうは潰して発酵させて、自家製の「ビネガー」にしてきたのだけれど、昨年から山ぶどうのジャムの美味しさに目覚めてしまったから、今年は採ってきた全てのブドウをジャムに煮ました。

<山ぶどうジャムの作り方>
・採ってきた山ぶどうはひとつひとつ、粒を房からはずして、重さを計ってからさっと洗います。
・鍋に移し、山ぶどうにお砂糖をふりかけて一晩置きます。
お砂糖の量は山ぶどうの甘さ次第だけれど、だいたい重さの半分強くらい。
・一晩置いたお鍋を、翌日火にかけて煮込んでいきます。
・アクをすくいながらことことと、種が浮かんでくるくらいまで煮詰めたら、ザルで濾して、種を取り除きます。ザルで濾すと、鍋の中身がごっそり減るのがちょっと寂しいけれど、この作業は欠かせません。
・濾してからまた少し煮込み、とろりとしたら火を止めます。
・煮沸した瓶に熱いうちに詰めてしっかりと脱気したら、常温でもうんと長持ちの自家製ジャムが出来上がり!


今年は嬉しいことに、山ぶどうと同じ場所でたくさんのコクワの実も拾うことができました。
本州では「サルナシ」と呼ばれているこの小さな果実は、小さなものはドングリくらい、大きなものはミニトマトくらいの大きさで、渋いグリーン。見た目はとても地味だけれど、味はキウイにそっくりで、よく熟れたものは皮の中からとろりと果実が流れ出し、天然のものとは思えないほど甘いのです。

でも残念なことには、これまであまりたくさん採れることは無くって、手の平に乗る位のほんの数粒の実を分けあって食べるくらいが関の山。
それがそれが、今年は蔓の先に鈴なりになっているコクワたちを発見し、木立の中で大興奮!かつてないほどの収穫量になったのです。


そんなわけで、生でしか食べたことのなかったコクワを、今年は初めてジャムに煮てみました。
ヘタをとって、砂糖と一緒にことこと煮込み、仕上げにほんの少しのレモン汁。

台所の棚には、たくさんの秋色のジャムがぎっしり。
たくさんは採れなかったけど今年も煮たスモモのジャム、
近所の農園で分けて頂いたアロニアを渋抜きした煮込んだアロニアジャム、
山ぶどうのジャムと、コクワのジャム。

これからやってくる長い冬の間も、果実のない芽吹きの季節も、来客の続くグリーンシーズンも、これがあれば安心なのです♪

さなえ
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2013年10月9日水曜日

野良かぼちゃと、グリーントマト

朝の台所に、遠くを走る列車の音がかすかに届くようになると、もう冬は間近。
毎朝同じ時間に台所に立つのに、夏には決して聞こえることのない列車の音。山から冷気が下りてくるような季節になると、乾いた空気に乗ってガタタン、ガタン、ガタタン、ガタン…と冬の始まりを教えてくれる。

澄みわたった星空の美しかった次の日、今年も初霜がやってきた。
畑の中でいちばん霜に弱いのは、大きく葉を伸ばしたカボチャたち。クルミの木によじ登り、松の幼木にからみつき、トマトのコーナーにまで進出しようという勢いだったやんちゃな「野良かぼちゃ」は、全ての葉っぱが真っ黒になり、静かに終わっていった。

生ゴミから出てきた元気なカボチャの芽は、畑の中のものはみんな抜かれてしまうけれど、運良く堆肥コーナーで目覚めた一株だけは、こうして霜の降りる時期まで頑張った。

草むらをかきわけるように、蔓をたどりながらカボチャの実を集めてみると、あらびっくり、こんなにたくさん。
いちばん最初に、この野良カボチャの苗を発見した次男は大得意!


まだ未熟なままに収穫されてしまったものも混じっているけれど、少し寝かせてから頂いてみることにしようかな。
雪化粧、夢味、ロロン、バターナッツ、最近のカボチャについているようなステキな名前は無くて、ただの雑種というべき我が家のカボチャ。はてさて味はいかに…。


カボチャと同じように霜にはうんと弱いのが、トマトたち。
霜が降りた後の畑では、赤くならないままに終わってしまったグリーンの小さなトマトたちが、枯れた苗にしがみついてかわいそうな姿になっている。いつもならそのままにしておかれるトマトたちだけど、今年は全部を収穫してみた。

グリーンのミニトマト、少し赤くなりかけたオレンジ色のミニトマト、幸運にも赤く熟れたミニトマト、大きなボウルに山盛りいっぱい。

15年前、お腹に長男がいた頃、母と二人で観に行った映画『フライドグリーントマト』に出ていたようなトマトのフライを食べてみたい!緑色のトマトを見ながらそう思い、収穫した日に「フライドグリーン(ミニ)トマト」を作ってみた。
ころんころんとかわいらしいフライは、見た目はうずらの卵のフライみたいだけど、びっくりの美味しさ。でもたぶん、中身がグリーンのミニトマトだってことは、言わなきゃ分からない。

残りのトマトはみんなピクルスに。
リンゴ酢とお水、たっぷりのきび砂糖、お塩、それから広島の叔母から送られてきた美味しい生のローリエと、畑の赤唐辛子。ウイキョウとペッパーも忘れず入れて、瓶にたっぷり詰めたトマトのピクルス。


トマトだけなのに、思いがけずカラフルに美しく仕上がったピクルスたち。
畑仕舞いの日が少しずつ近づいて、少しずつ冬の楽しみが増えていきます。

それにしても、保存食を入れている冷蔵庫の下段は、既に蕗の砂糖漬けや甘酢らっきょう、ショウガの甘酢漬けに占領されていて、さてこれだけの量のピクルスをカビさせないように保存するにはどうしたらいいかしら。
瓶を眺めながら思案中・・・


さなえ
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