2011年2月24日木曜日

そばがき

少しずつ少ぅしずつ進めている郷土料理の聞き書き。

今回は、生まれも育ちも川湯温泉のSさんに、昔よくお母さんに作ってもらったという「そばがき」を教えていただいた。
ふつう、そば粉を熱湯で練ったものをそばがきという。粉を湯で練ることを「かく」というから、そばがき。
けれど、このたび教えて頂いたのは想像するそばがきとはちょっと違う。

1102232 まず用意するのはささがきにした人参とゴボウ。

これを煮立たせたそばつゆ(煮干ダシ+醤油、砂糖)でさっと火を通す。
歯ごたえがなくならないように、サッと煮るのがポイントで、そこへふるったそば粉を入れて、粉っぽさがなくなるまで練り上げたのが、Sさん特製のそばがき。

1102233 「昔は砂糖は貴重品でね、普段の食事なんかには絶対使わなかったの。砂糖の代わりに使ったのが、今でいう人口甘味料。煮物には『ズルチン』、煮ないものには『サッカリン』という風に使い分けてね。今の人は『ズルチン』なんて知らないでしょう」

…ズルチン。なんか痛そう。

「出汁はね、私のとこでは煮干ダシを使っていたけれどね、何でも大丈夫よ」

作ってみると本当にあっという間に出来上がり。ふつうのそばがきとは違って、具が入っていて、味がついているから、これ一品だけでお昼は大丈夫。
昔は、大きなお鍋にたくさん作って、皆で取り分けていただいたという。

「あのね、今食べると特段美味しいものではないけれど、昔はこれしか無かったのよ」

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写真左がそばがき、右は同じく戦時中によく食べていたという塩ゆでジャガイモ、奥は以前の聞き書きで覚えたたらし団子

素朴な味のそばがきは、そば粉の香りがとってもいい。
それとビックリしたのはとっても腹持ちがいいっていうコトで、小鉢に盛ったそばがきは、それほど大盛りじゃなかったのに、食べ終わったらもうすっかりお腹いっぱい。

でもね、栄養と腹持ち。これが戦時においては何よりのご馳走なのであって、ここには子を思う母の優しい気持ちが込められているのだと、しみじみ感じる味だった。

他にも、たった一度だけ配給になった「どんぐりの粉」のお話や、藁のストローで採取したメープルシロップ、農家の娘さんに危うく(!?)食べさせられそうになった「干しヘビ」のことなど、戦時の川湯の食糧事情を笑顔でお話くださったSさん。
お金を出せばなんでもそろうと錯覚しがちな現代に、やっぱり昔のお話は今聞いておかなければと改めて思う。

おばあちゃん達のお話からは、すごく大切なことを教わっている。
ありがとう。

さなえ
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2011年2月12日土曜日

農に出会う

先日、長野にて農業を営むガッテンの古い友人が、初めてこの地を訪れてくださった。
農楽里ファーム(のらりふぁーむ)の遠藤さん母娘と、農楽里ファームの映像も撮っている株式会社水の和の高須さん。

3人がいらした日は、晴天続きの釧路川の畔では珍しい、あいにくの吹雪模様。
けれど、初対面とは思えない親しみを感じられる遠藤さんのステキなおしゃべりで、藁の家はあっという間に暖かに。
外の吹雪を見ながら、このお天気もきっと何か意味があることなのだと感じた。

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農楽里ファームは、信州の湧水流れる山村の小さな集落にあります。
澄んだ空気、白馬三山と戸隠連峰を望む棚田、昭和の風情を残す古民家・・・
ゆったりと流れる時間・・・

夜は真っ暗闇に・・夜空には天の川
田んぼにはカエルにイモリにホタルに赤トンボ・・・

タイムスリップするような懐かしい未来がここにはあります。

そして、大切なお約束・・
皆様の健康と笑顔のために、「いのち」をつなぐ「いのちあるもの」をお届けしたいから・・
農楽里ファームの作物は、全て農薬や化学肥料を使わない自然に寄り添った農法で、心をこめて大切に育てています。

(農楽里ファームのHPより)
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いらしてくださったその晩は、夕食を作り、皆で食卓を囲みながらお話会となった。

食卓に並んだメニューはこんな感じ。
・農楽里ファームで収穫されたササニシキのちらし寿司、
・地場産の根菜たっぷりのお味噌汁、
・集落の農家さんが作った小粒の珍しいジャガイモ(インカのめざめ)の揚げ芋、
・お土産に頂いた沖縄の海ブドウと自家製バジルペーストのカナッペ、
・越冬キャベツの和え物
・自家製卵の千種焼き

アルプスに囲まれた里山の風景の中で、棚田で作ったお米。
頭の中には美しい情景が広がるけれど、実際の農作業の忙しさや苦労はタブン私の想像を超えているはずで、憧れだけでできるほど易しい作業ではないはず。けれど、この地に就農してたった6年で、農楽里スタイルをしっかりと作り上げたその力はどこからやってくるのかしら。

でも一緒に夕食を作りながら台所で話した遠藤さんは、どこまでも優しくて、場所は違えども雪国・北国のかあちゃん同士、相通じるものがあり。
しっかりと先を見据えれば農に行き着くことはごく自然なことに感じたし、その力がやってくる源は、きっと「愛」なんだなーと私なりに思うところがあった。

ところで、台所でもりあがったのは、
「北国暮らしはお金がかかる」
ということ。

お金に頼らない暮らしがしたいと願っても、北国暮らしにはなかなか厳しいのが実情。
保育園の送り迎え、日々の用事、全て車がなければ始まらない「超クルマ社会」。
他にも、寒さを迎えるための家の断熱、暖房、服、靴、雪かき道具…
さまざまな負担が、北国で暮らす民に重くのしかかっている。
これは雪国である長野でも同じらしく、北に住むということは、それだけで南の方々とはスタートの位置がだいぶ違うのだ。

ま、そのことはともかく。

農楽里ファームでは現在、40~50種類の作物を育てている。自然に寄り添って暮らす日々が思いがけない多くの苦労と喜びを運んできてくれるのだと、しみじみ感じるお話会だった。

110211 お話会の翌日は、澄み渡った青空。
この青空のために、昨日は吹雪模様だったのかもしれないと思うほどの青空。

帰り際、農楽里ファームのDVDをお預かりした。
ほんの少しだけれど、わっかでも販売させて頂くことを嬉しく思う。

『生命活性化にかける夢舞台』
カラー41分/定価1,450円(税込・送料別)
DVD特典付
問合せ: info@wakka.biz

田植えから稲刈りまでを密着取材したドキュメンタリーDVD。書ききれなかったお話会の内容も、これを観れば伝わるように思う。ぜひ多くの方に見て頂ければ嬉しい。


でも私思うのだけど、これから先、家庭菜園がものすごくブームになるかもしれない。
皆が食に関心を持ち、農に関心を持つということは、全てにおいていいことのように思う。
明るい未来のイメージが湧いてきた。うん。


遠藤さん、高須さん、あやのちゃん、ありがとうございました!
またお会いできる日を楽しみにしています。

さなえ
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