少しずつ少ぅしずつ進めている郷土料理の聞き書き。
今回は、生まれも育ちも川湯温泉のSさんに、昔よくお母さんに作ってもらったという「そばがき」を教えていただいた。
ふつう、そば粉を熱湯で練ったものをそばがきという。粉を湯で練ることを「かく」というから、そばがき。
けれど、このたび教えて頂いたのは想像するそばがきとはちょっと違う。 まず用意するのはささがきにした人参とゴボウ。
これを煮立たせたそばつゆ(煮干ダシ+醤油、砂糖)でさっと火を通す。
歯ごたえがなくならないように、サッと煮るのがポイントで、そこへふるったそば粉を入れて、粉っぽさがなくなるまで練り上げたのが、Sさん特製のそばがき。 「昔は砂糖は貴重品でね、普段の食事なんかには絶対使わなかったの。砂糖の代わりに使ったのが、今でいう人口甘味料。煮物には『ズルチン』、煮ないものには『サッカリン』という風に使い分けてね。今の人は『ズルチン』なんて知らないでしょう」
…ズルチン。なんか痛そう。
「出汁はね、私のとこでは煮干ダシを使っていたけれどね、何でも大丈夫よ」
作ってみると本当にあっという間に出来上がり。ふつうのそばがきとは違って、具が入っていて、味がついているから、これ一品だけでお昼は大丈夫。
昔は、大きなお鍋にたくさん作って、皆で取り分けていただいたという。
「あのね、今食べると特段美味しいものではないけれど、昔はこれしか無かったのよ」
写真左がそばがき、右は同じく戦時中によく食べていたという塩ゆでジャガイモ、奥は以前の聞き書きで覚えたたらし団子。
素朴な味のそばがきは、そば粉の香りがとってもいい。
それとビックリしたのはとっても腹持ちがいいっていうコトで、小鉢に盛ったそばがきは、それほど大盛りじゃなかったのに、食べ終わったらもうすっかりお腹いっぱい。
でもね、栄養と腹持ち。これが戦時においては何よりのご馳走なのであって、ここには子を思う母の優しい気持ちが込められているのだと、しみじみ感じる味だった。
他にも、たった一度だけ配給になった「どんぐりの粉」のお話や、藁のストローで採取したメープルシロップ、農家の娘さんに危うく(!?)食べさせられそうになった「干しヘビ」のことなど、戦時の川湯の食糧事情を笑顔でお話くださったSさん。
お金を出せばなんでもそろうと錯覚しがちな現代に、やっぱり昔のお話は今聞いておかなければと改めて思う。
おばあちゃん達のお話からは、すごく大切なことを教わっている。
ありがとう。
さなえ
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2011年2月24日木曜日
そばがき
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