2010年11月27日土曜日

思い出の料理

夏に長男のミチトが参加した「てしかが冒険隊アドベンチャーツーリング」は、子ども達が自転車に乗り、400kmほどの距離を1週間ほどかけて走破していくという教育委員会主催の事業だ。
1年生の小さな子ども達から、中学生の大人といってもいいほど大きな子ども達まで、同じ目的に向かってひたむきに自転車を漕ぐ姿に、私たちも大いに元気をもらっている。

この事業のすごいところは、もちろんその「走破距離」にもあるのだけれど、それだけではない。1日中、炎天下の中を漕ぎ続け、時には峠を越えて、疲れはてて今宵の宿にたどりつく… しかしそこは宿であって、宿でない。つまり、待っているのは大地であり、そこに布とポールで今宵の宿を「建設」し、食材の買出しに出かけ、各々の班で決めた料理を作り、ようやく食事にありつく。食事が終わったら当然の如く後片付けが待っているのであり、全てが終わって寝袋にもぐりこむのは夜10時を回っていることも多い。

自転車で旅をする若者には珍しくないキャンプでのツーリング。
しかし、小学生にとってはなかなかに得がたい体験であることは間違いない。もちろん、スタッフの方の力添えがあってのことなのだけれど、子ども達が自分の手で生活を創り出していくことに喜びを見出しているのは確かだ。

ミチトは今年6年生。冒険隊の事業は中学生でも参加できるのだけど、ミチトとしては今年が最後と決めているらしい。だから、2年生から、数ある冒険隊事業のほとんどに参加してきたその集大成ともいえる、今年のツーリングだった。

「ツーリングに行く前と行った後で、何か変わったことはありますか?」
幾度となく聞かれるこの質問だけど、残念ながら戻ってきたミチトの顔が真っ黒になっているということの他はあまりない。
子ども達の成長に欠かせない事業であっても、一朝一夕で劇的に変わるような「効果的」なものじゃないから。
けれど、今年のツーリングから戻った後、彼はすごく料理を作りたがるようになった。

学校がお休みの時は、必ず自分の朝ごはんを作る。
大好きな卵とチーズを使って、怪しげなチャーハンを作っているらしい。「うぉっ美味しい。もしかしてオレ天才?」とか言いながらニヤニヤと…。
時に勧めてくれる味見に関しては、丁重にお断りしている。
時にはその怪しげなチャーハンを弁当箱に詰めて、自転車で町へでかけることもある。私は楽チンだ。朝ごはんも昼ごはんも作らず、町へ送っていく必要もない。

その彼が、最近よく「今日の晩ご飯、オレに作らして」と言ってくる。
しかしそう言い出すのは決まって平日の夕方で、その頃には夕食の段取りはあらかた済んでいて、彼の希望の食材もないことが多い。
「今日はもうメニューが決まっているから、手伝いしてよ」と言うと、決まって「手伝いは嫌だ」とにべもない。全部任せてもらわなくちゃ嫌なのだそうだ。

そしたらもっと早く言ってよ~。
手伝いは嫌だとか言って、もぉ~う。
と私もブツブツ言ってみたりするけれど、その気持ちは何となく分かるンだな。
お手伝いは感謝はされるけど、驚いてくれたりはしないもの。

思えば私も小学生の頃はよく料理をしていた。
母は仕事があったから、決まって私の方が帰宅は早かった。帰ってきた母を驚かせようと、イロイロ作戦を考えたりするのが好きだった。
小学生の作る料理なんて、カレーかシチューが多いのだけど、一度思い立って「ミートローフ」に挑戦したことがあった。

母の持っている料理の本はあまり多くなかったけれど、表紙がぼろぼろになった時代がかった本が母と私のお気に入りだった。ベーコンやソーセージ、ヨーグルトから漬け物まで、さまざまな料理を指南してくれる。
その中に、いろいろなご家庭の自慢料理を紹介するページがあって、「ミートローフ」の作り方もそこで知った。

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「作りおきがきくので、子どものおべんとうのおかずに重宝しています。
ひき肉に、よくいためた玉ねぎのみじん切りを加え、牛乳にひたしたパン粉、卵、塩、こしょうを入れ、よくねりまぜます。ここでしょうゆを少々加えると、味がぐっとよくなります。
よくまざったら、グリンピースとさいの目に切ったチーズをまぜ、焼き型に入れて、テンピで焼き上げます。」
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しかしお料理を始めたばかりの小学生にとって、この文章は難解だった。
”ひき肉によくいためた玉ねぎのみじん切りを加え” 
…ひき肉と玉ねぎの分量はどのくらい?
卵は何個?
さいの目に切ったチーズ… さいの目ってなんだべ。
テンピで焼くって、一体何分?

分量が書いていないのだから、適当にやるしかなかった。しかるに、この時に「適当」という分量を覚えたように思う。

書いてあるように材料をこねて、型に詰めて、ガスコンロで温めた天火オーヴンで美味しそうな香りが漂うまで焼いてみた。
前時代の天火オーヴンはとても重たいし、ガスコンロは火を使うので危ない。けれど、ミートローフはどうにかうまく焼きあがり、帰宅した母の驚いた顔を今でも覚えている。

そんなことを思い出したら、やっぱり任せてみるのも大事なことだと気がついた。
「今日、まだ時間が早いから夕ご飯、作ってみる?鍋の材料ならあるけど」
とミチトに聞いてみると、
「えっいいの?作る、作る!」

材料の切り方とか、鍋に入れる順番とか、出汁や調味料についてなど、
ついつい口を出しそうになるのを我慢しつつ見ているうちに、お鍋が出来上がった。
残念ながら写真を撮るのを忘れてしまったのだけど、美味しい醤油味の優しいお鍋に、日ごろの心無い言動を反省する秋の夜長であった・・・


ミートローフのレシピは、映画監督の須川栄三氏の妻、真理明美さんのもの。
ぼろぼろになったページはコピーして、今も私の手元にある。
そして誰も知らない思い出の料理は、今でも時々作って食卓に並べている。
(子ども達は「四角いハンバーグ」だと思っているケド)
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今日のは人参とうずら卵入り!

さなえ
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にどむサイトまだ停滞中、ゴメンナサイ。



2010年11月16日火曜日

手作りパンのススメ

一年でいちばん静かな時間の流れる11月。
川へ出るにはもう寒く、紅葉はとっくに終わって木々は裸。山に登るには冬山装備が必要だし、そうかと言ってスキーやスノーシューを楽しむことは出来ない。
まことに中途半端なこの11月。

けれど、私は11月が好き。
裸の木々は寒々しいけれど、青空に映える。
すっかりと葉っぱが落ちた森は、お日様の光が落ち葉を照らし、透明で明るい。
それから、まだ師走の忙しさが届かないこの時期は、夏の間ご無沙汰していた友人達を訪ねたり、招いたりするのも楽しい。
そして、夏の間忙しいことを理由にやらなかったこと、やれなかったことをゆっくり楽しめるのも嬉しい。

そんなわけで、この頃は朝ごはんのパンも自家製に切り替わった。
朝ごはんのパン、と言ったけれど、これは主に「私の」朝ごはんのことで、ガッテンは朝ごはんは全く食べないし、長男のミチトは完全なる「ご飯党」でパンには見向きもしない。次男のシュウシュウは甘党だからパンはそれなりに食べてくれるけど、大食漢では無いのでほんのちょっぴりしか口にしない。それで私はと言うと、やっぱり朝はパンがいいのだ。

かくして、家族の基本である「同じ釜の飯を食う」という図式は、朝食においては成立が困難だ。何とかしたいなあと思いつつも、何ともならないままに15年の月日が経った。

そう、思い起こせば15年前この地に越してきた19歳の私は、何の技術も知識も無かったけれど、とにかく食事の材料を「買う」という行為に何か罪悪感のようなものを抱いていた。特に、素材じゃない加工品を買うことには激しく抵抗があって、調味料も食材も、最低限のものだけをシンプルに使い、料理していた。
今にして思えば、その動機はもしかしたら(ガッテンに怒られないように)とかいう、至って消極的な理由だったようにも思うのだけれど、とにかくがむしゃらに何でも作ってみた。

もちろんパンもその一つで、パンが食べたけりゃ作るしか選択肢がなかった(ような気がしていた)。
けれど、作ったことが無かったのでやり方が分からない。
隙間風の吹きすさぶ弟子屈のスーパーで、ようやく買い求めた「強力粉カメリヤ」の外袋に記されたおまけのようなレシピを何度も読み返しながら、せめて材料だけは正確にと思うのに、秤さえ持っていなかったので、お米用の計量カップを代用して、この作り方でいいのかと頭に?マークをたくさんつけながら1日がかりでパンを焼いていた。

時が経って、強力粉カメリヤは、北海道産小麦に替わった。
いろいろ勉強してパンの作り方もどうにか分かった。
1gまで計れるデジタルの秤がやってきて、計量偏重の時代も経験した。

そうして今、私が焼いている自家用のパンは、名づけて「適当パン」。
原点回帰とも言うべきこのパンは、
入れる材料もその時にあるもので、牛乳や卵も入れたり入れなかったり。
材料を秤で計量することもなく、
ベンチタイムはおろか、二次発酵さえも完全無視。

夕食の準備をしながら、合間に捏ねておいて、暖房しない寒い部屋に置いておくだけ。
朝起きたら、オーブンのスイッチを入れて、パン種を成形したら焼く。オーブンがまだ温まってなくても、そのうち温まるに違いないから放り込んじゃう。
いつもよりちょっぴり…そう、20分も早起きすれば、朝食には焼きたてのパンが食べられるんです!

ほかほかのパンをお皿に山盛り乗せて、起きてきた家族に声をかける。
「焼きたてのパンだよ~ほかほかだよ~」
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手作りパンの嬉しいところは、もちろん焼きたての美味しさもあるけれど、それよりも添加物が入っていなくて、国産の小麦が原料であることが大きい。
だから、自家用パンは「適当パン」で充分、大満足。

書くまでもないかとは思ったのだけど、こんなパンでも興味のある人がいるかもしれないから、一応レシピを…。

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<自家用パン ドライイーストバージョン>

材料:
○国産小麦 500gくらい (カップ5杯くらい)
○砂糖 50gくらい (カレースプーンで2~3杯くらい)
○塩 小さじ1くらい
○水分 350ccくらい (卵、牛乳、水 など)
○ドライイースト 大さじ1くらい
○バター 適当 (オリーブ油でもOK)

作り方:
①バター以外の材料をこねる。
②滑らかになったら、バターを入れて、さらにこねる。
③ひとまとまりになったら、ボールに入れ、乾燥しないようにぴったりラップで覆って一晩涼しいところに置く。
④好みの形に成形して(丸めたり、田舎パン風にひとまとまりにしたり、食パン型に入れることもある)、180℃のオーブンで15~25分焼いて出来上がり。

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ところで、今ニュースでは何かと話題のTPP(※)だけれど、これが正式に決まると北海道の農業は壊滅的な打撃と言われている。
先日の北海道新聞には、北海道の試算として、こんなデータが載っていた。

<日本がTPPに参加した場合の道内農業への影響> 単位:億円
現在の生産額  →  TPP後の生産額
コ メ 1255 → 125(90%減)
小 麦 418 → 0
テン菜 492 → 0
でんぷん 160 → 0
酪 農 3502 → 966(72%減)
肉用牛 587 → 104(82%減)
豚  344 → 0

(現在の生産額は2008年の値、TPP後の生産額は、TPPで関税が撤廃された場合の生産額の試算)

小麦、テン菜、でんぷん原料のジャガイモなどは、輸入品とは差別化が難しい上に価格差が大きく、TPP参加で真っ先に影響を受け、壊滅状態に追い込まれるとされている。

北海道内では、農業団体はもちろん経済団体や消費者協会など、あらゆる団体がこぞってTPP反対を掲げているけれど、TPP参加という流れが止まることはないだろうと思う。
だからこれからは、自治体・地域コミュニティー・家族などの小さな単位での「自給」というものを真剣に考えてみる必要があるんじゃないかな。
だって、せっかくパンを焼くんだもの、やっぱ道産小麦がいいっしょ。


さて、「焼きたてパンだよ~ほかほかだよ~」
私の呼びかけがどうなったかと言うと、

「おぅ」と言ったけど食べない1名、
「えっ?ご飯はないの?」1名、
「シュウシュウはチョットでいい」1名、でしたっ。やっぱりね!

さなえ
www.wakka.biz/nidomu/
にどむサイト停滞中、ゴメンナサイ。


※TPP: 環太平洋パートナーシップ協定
協定を結んだ国同士での貿易を自由化するというもの。例外を設けない全ての品目で関税を撤廃し、自由化を促進する。貿易自由化の優等生とか呼ばれているらしい。