2010年11月16日火曜日

手作りパンのススメ

一年でいちばん静かな時間の流れる11月。
川へ出るにはもう寒く、紅葉はとっくに終わって木々は裸。山に登るには冬山装備が必要だし、そうかと言ってスキーやスノーシューを楽しむことは出来ない。
まことに中途半端なこの11月。

けれど、私は11月が好き。
裸の木々は寒々しいけれど、青空に映える。
すっかりと葉っぱが落ちた森は、お日様の光が落ち葉を照らし、透明で明るい。
それから、まだ師走の忙しさが届かないこの時期は、夏の間ご無沙汰していた友人達を訪ねたり、招いたりするのも楽しい。
そして、夏の間忙しいことを理由にやらなかったこと、やれなかったことをゆっくり楽しめるのも嬉しい。

そんなわけで、この頃は朝ごはんのパンも自家製に切り替わった。
朝ごはんのパン、と言ったけれど、これは主に「私の」朝ごはんのことで、ガッテンは朝ごはんは全く食べないし、長男のミチトは完全なる「ご飯党」でパンには見向きもしない。次男のシュウシュウは甘党だからパンはそれなりに食べてくれるけど、大食漢では無いのでほんのちょっぴりしか口にしない。それで私はと言うと、やっぱり朝はパンがいいのだ。

かくして、家族の基本である「同じ釜の飯を食う」という図式は、朝食においては成立が困難だ。何とかしたいなあと思いつつも、何ともならないままに15年の月日が経った。

そう、思い起こせば15年前この地に越してきた19歳の私は、何の技術も知識も無かったけれど、とにかく食事の材料を「買う」という行為に何か罪悪感のようなものを抱いていた。特に、素材じゃない加工品を買うことには激しく抵抗があって、調味料も食材も、最低限のものだけをシンプルに使い、料理していた。
今にして思えば、その動機はもしかしたら(ガッテンに怒られないように)とかいう、至って消極的な理由だったようにも思うのだけれど、とにかくがむしゃらに何でも作ってみた。

もちろんパンもその一つで、パンが食べたけりゃ作るしか選択肢がなかった(ような気がしていた)。
けれど、作ったことが無かったのでやり方が分からない。
隙間風の吹きすさぶ弟子屈のスーパーで、ようやく買い求めた「強力粉カメリヤ」の外袋に記されたおまけのようなレシピを何度も読み返しながら、せめて材料だけは正確にと思うのに、秤さえ持っていなかったので、お米用の計量カップを代用して、この作り方でいいのかと頭に?マークをたくさんつけながら1日がかりでパンを焼いていた。

時が経って、強力粉カメリヤは、北海道産小麦に替わった。
いろいろ勉強してパンの作り方もどうにか分かった。
1gまで計れるデジタルの秤がやってきて、計量偏重の時代も経験した。

そうして今、私が焼いている自家用のパンは、名づけて「適当パン」。
原点回帰とも言うべきこのパンは、
入れる材料もその時にあるもので、牛乳や卵も入れたり入れなかったり。
材料を秤で計量することもなく、
ベンチタイムはおろか、二次発酵さえも完全無視。

夕食の準備をしながら、合間に捏ねておいて、暖房しない寒い部屋に置いておくだけ。
朝起きたら、オーブンのスイッチを入れて、パン種を成形したら焼く。オーブンがまだ温まってなくても、そのうち温まるに違いないから放り込んじゃう。
いつもよりちょっぴり…そう、20分も早起きすれば、朝食には焼きたてのパンが食べられるんです!

ほかほかのパンをお皿に山盛り乗せて、起きてきた家族に声をかける。
「焼きたてのパンだよ~ほかほかだよ~」
101115

手作りパンの嬉しいところは、もちろん焼きたての美味しさもあるけれど、それよりも添加物が入っていなくて、国産の小麦が原料であることが大きい。
だから、自家用パンは「適当パン」で充分、大満足。

書くまでもないかとは思ったのだけど、こんなパンでも興味のある人がいるかもしれないから、一応レシピを…。

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<自家用パン ドライイーストバージョン>

材料:
○国産小麦 500gくらい (カップ5杯くらい)
○砂糖 50gくらい (カレースプーンで2~3杯くらい)
○塩 小さじ1くらい
○水分 350ccくらい (卵、牛乳、水 など)
○ドライイースト 大さじ1くらい
○バター 適当 (オリーブ油でもOK)

作り方:
①バター以外の材料をこねる。
②滑らかになったら、バターを入れて、さらにこねる。
③ひとまとまりになったら、ボールに入れ、乾燥しないようにぴったりラップで覆って一晩涼しいところに置く。
④好みの形に成形して(丸めたり、田舎パン風にひとまとまりにしたり、食パン型に入れることもある)、180℃のオーブンで15~25分焼いて出来上がり。

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ところで、今ニュースでは何かと話題のTPP(※)だけれど、これが正式に決まると北海道の農業は壊滅的な打撃と言われている。
先日の北海道新聞には、北海道の試算として、こんなデータが載っていた。

<日本がTPPに参加した場合の道内農業への影響> 単位:億円
現在の生産額  →  TPP後の生産額
コ メ 1255 → 125(90%減)
小 麦 418 → 0
テン菜 492 → 0
でんぷん 160 → 0
酪 農 3502 → 966(72%減)
肉用牛 587 → 104(82%減)
豚  344 → 0

(現在の生産額は2008年の値、TPP後の生産額は、TPPで関税が撤廃された場合の生産額の試算)

小麦、テン菜、でんぷん原料のジャガイモなどは、輸入品とは差別化が難しい上に価格差が大きく、TPP参加で真っ先に影響を受け、壊滅状態に追い込まれるとされている。

北海道内では、農業団体はもちろん経済団体や消費者協会など、あらゆる団体がこぞってTPP反対を掲げているけれど、TPP参加という流れが止まることはないだろうと思う。
だからこれからは、自治体・地域コミュニティー・家族などの小さな単位での「自給」というものを真剣に考えてみる必要があるんじゃないかな。
だって、せっかくパンを焼くんだもの、やっぱ道産小麦がいいっしょ。


さて、「焼きたてパンだよ~ほかほかだよ~」
私の呼びかけがどうなったかと言うと、

「おぅ」と言ったけど食べない1名、
「えっ?ご飯はないの?」1名、
「シュウシュウはチョットでいい」1名、でしたっ。やっぱりね!

さなえ
www.wakka.biz/nidomu/
にどむサイト停滞中、ゴメンナサイ。


※TPP: 環太平洋パートナーシップ協定
協定を結んだ国同士での貿易を自由化するというもの。例外を設けない全ての品目で関税を撤廃し、自由化を促進する。貿易自由化の優等生とか呼ばれているらしい。



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