毎年この時期、地域の小さなお祭りでもある「家畜祭」が開かれる。
酪農家さんたちにとっては大切な、家畜たちの供養でもある「家畜祭」。以前は4月に「家族慰安会」、9月に「家畜祭」がそれぞれ行なわれていたのだけれど、何しろ町でいちばん小さな自治会。年に2回の行事はいかにも負担が大きいというような意見も出て、7~8年前からは4月の「家畜祭」だけとなった。
いつもなら、会館の外にある「家畜の碑」にしめ縄を飾り、紅白の垂れ幕を下げ、その前にイスを20脚ほど並べて皆で座り、神主さんに祝詞をあげていただくのだけれど、今年は前日までの吹雪がまだ収まりきらず冷たい風が音をたてて吹きつけるような寒い日であったので、会館の中での開催となった。
会議用のテーブルを3つ並べて即席の祭壇を作り、ロウソク、お神酒、米、塩、尾頭付きの鯛と野菜を飾り、その前で祭事が営まれた。
数年前、神職のご主人が急逝したために急遽その職を継ぐことになったという女性神主さんが、今回初めて息子さんと一緒に祝詞をあげてくださった。
祓いたまへ清めたまへ、かしこみかしこみ・・・
隣りでもぞもぞと落ち着きなく動き続ける次男が、神主さんの礼に合わせてその時だけは神妙にぺこりぺこりと頭を下げるのが可笑しく、周囲から忍び笑いが漏れる。
最後は全員で二拝二拍手一拝し、家畜祭は滞りなく終了した。
祭事の後は恒例の懇親会。
巻き寿司や、大皿におかずを彩りよく詰め合わせた、このあたりでは「オードブル」と呼ばれる盛り合わせ、お茶やジュース、お菓子、果物など。
近くに住んでいながら、なかなか顔をあわせることも少ない住人同士、交流を深める春の一日。
それにしても、どこへ出かけるのも車社会。
犬を飼っているわけでもない人は歩いて散歩をする機会も少ないし、一軒一軒が1キロ以上も離れていることだって珍しくない広い大地では、なかなか近所の人で集まって食事をする機会もないもの。お話するのが年に一度の家畜祭だけ、という方もあって、近くにいるのになんだか寂しいなあと、毎年のことながら考えてしまうのだった。
「面倒くさいことの象徴」のように言われる近所付き合いも、何かあった時に助け合えるのが近所同士。都会であっても田舎であっても、頼れるご近所さんの存在は大事にせねばなあ、とも改めて思う一日なのだった。
さなえ
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